ショーター・ロンガーとは?「持ってないのに売れる」ロング・ショートの使い分け方

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わからない前提で解説 5歳でもなんとなく分かるFX用語!

ショーター・ロンガーとは?
「持ってないのに売れる」ロング・ショートの使い分け方

このページでは、ショーター・ロンガー・ロング(買い)・ショート(売り)・買いポジション・売りポジション・ショートカバー・踏み上げについて、FX初心者にもわかりやすく3ステップで解説します。「持っていないものを売るってどういうこと?」「ドル円を売ると、円とドルのどちらを売っているの?」「売っている人が多いのに、なぜ急に上がるの?」という混乱しやすいところまで、順番にほどいていきます。株や仮想通貨のショーターとの違い、2026年9月の日米そろっての利上げで売りのコストがどう変わったかも、最新の情報で整理しました。売りから入れることを理解すると、下がる相場も収益のチャンスに変わります。

ショーター・ロンガーを説明するパンダキャラクター
STEP 01
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なんとなく理解しよう!

5歳でもわかる超かんたん解説

FXの世界には「これから値段が上がるぞ!」って思って買う人と、「これから値段が下がるぞ!」って思って売る人がいるんだ。この2種類の人たちのことを、ロンガーとショーターって呼ぶんだよ。まるで運動会の綱引きみたいに、上がる派と下がる派がひっぱり合っていて、どっちが勝つかで値段が動くんだ。

まずロンガーは、「買いから始める人」のこと。ロングとは「安く買って高く売る」やり方で、ロンガーはこのやり方を使う人だよ。今100円のトレーディングカードがあるとするね。ロンガーさんは「このカードは人気が出て120円になりそう!」と思うから、今のうちに100円で買っておく。そして予想どおり120円になったら売って、20円のおこづかいをゲットするんだ。買ったあと、まだ売っていない状態のことを「買いポジションを持っている」って言うよ。

次にショーターは、「売りから始める人」のこと。「えっ、持ってないのに売れるの?」って不思議だよね。ここがFXのすごいところ。ショートとは「高く売って安く買い戻す」やり方で、先にお店からカードを借りて売っておいて、値段が下がったら安く買い戻して返す、っていうことができるんだ。ショーターさんは「このカードは人気がなくなって80円になりそう」と思うから、今のうちに100円で売る。そして予想どおり80円になったら80円で買い戻して返すと、手元に20円が残るんだ。売ったあと、まだ買い戻していない状態を「売りポジションを持っている」って言うよ。まるで「さかさまの魔法」だね!

おもしろいのは、ショーターさんとロンガーさんは同じものを見ているのに、予想が正反対なところ。片方が「上がる!」って引っ張って、もう片方が「下がる!」って引っ張っている。どっちが勝つかは時間がたってみないとわからないから、みんなチャートを見たりニュースを調べたりして予想するんだよ。

そしてね、この2チームがいるからこそ、いつでも取引ができるんだ。「買いたい」と思っても、同じ値段で「売りたい」人がいないと取引は成立しないよね。ショーターさんとロンガーさんは、けんかしているようで、実はおたがいの相手役をしているんだ。

でもね、ショーターさんにもこわいときがあるんだ。「下がる!」と思って売ったのに、値段がどんどん上がっていくとき。ショーターさんは損がふくらむ前に、あわててカードを買い戻さなきゃいけない。この買い戻しのことをショートカバーって言うよ。たくさんのショーターさんがいっせいに買い戻すと、「買いたい人」が急に増えるから、値段はさらにぐーんと上がる。するとまだ売ったままの人がもっとあわてて買い戻して……と、雪だるまみたいに上がっていくんだ。これを踏み上げって呼ぶよ。みんなが同じほうに売りすぎているときほど、反対に大きく動きやすいってことだね。

ロング・ショートとロンガー・ショーターを整理すると…

ロング(買い):安く買って高く売るやり方。値段が上がれば利益、下がれば損失。

ショート(売り):高く売って安く買い戻すやり方。値段が下がれば利益、上がれば損失。

ロンガー:ロング(買い)をしている人。つまり「上がる派」。

ショーター:ショート(売り)をしている人。つまり「下がる派」。

ショートカバー:売っていた人が買い戻すこと。踏み上げ:その買い戻しが次々に起きて、値段が一気に上がること。

遊園地の入場券で考えてみよう。ロンガーさんは「新しいジェットコースターができるから、入場券の値段が上がるぞ!」と思って今のうちに買う人。ショーターさんは「台風の季節だから、みんな行かなくなって値段が下がるぞ」と思って今のうちに売っておく人なんだ。どっちが正しいかは、あとになってみないとわからないんだよ。

ショーター・ロンガーの詳細を解説するパンダキャラクター
STEP 02

さらに深掘ってマスターしよう!

もっと詳しい本格解説

01ロング・ショートとロンガー・ショーターの関係

まず4つの用語の関係を整理します。ロングとショートは取引の方向を指す言葉で、ロンガーとショーターはその方向で取引している人を指す言葉です。ロング(Long)は買いポジションを持つこと、ショート(Short)は売りポジションを持つことで、ロングしている投資家がロンガー、ショートしている投資家がショーターになります。

ここでいうポジションとは、まだ決済していない持ち高のことです。買って売っていない状態が買いポジション、売って買い戻していない状態が売りポジションで、決済すればポジションは消えます。つまりロンガーやショーターというのは固定された属性ではなく、今どちらのポジションを持っているかという一時的な状態にすぎません。

ここがポイント

「自分はロンガーだ」と決めてしまう必要はありません。上昇局面ではロンガー、下降局面ではショーターへと、相場に合わせて立場を変えるのが本来の使い方です。どちらか一方に固定した瞬間、相場の半分を捨てることになります。

02ロング(買い)の仕組みと特徴

ロングとは、通貨ペアを買うことで取引を始める方法です。ドル円を150円でロングした場合、155円に上がれば5円ぶんの利益、145円に下がれば5円ぶんの損失になります。安く買って高く売るという最もシンプルな形なので、初心者にも直感的に理解しやすいのが特徴です。

ロングにはもう1つ、価格差以外の収益源があります。金利の低い通貨を売って金利の高い通貨を買う組み合わせなら、保有しているあいだ毎日スワップポイントを受け取れます。金利の低い円を売って高金利通貨を買うキャリートレードは、この受け取りを主目的にした戦略です。

ただし、スワップの受け取りを狙って買い持ちを続けると、為替が逆に動いたときの損失が受け取り分を一気に上回ることがあります。スワップは利益の本体ではなく、あくまで副収入として扱うのが安全な考え方です。

03ショート(売り)の仕組みと特徴

ショートとは、まだ持っていない通貨を先に売り、あとから買い戻す取引方法で、空売りとも呼ばれます。FXは差金決済の取引なので、実際に通貨を借りてくるわけではなく、売った価格と買い戻した価格の差額だけが損益になります。ドル円を150円でショートし、140円で買い戻せば10円ぶんの利益、160円まで上がってしまえば10円ぶんの損失です。

質問するパンダ生徒
パンダ生徒

持っていないドルを売るって、借金しているのと同じじゃないの?

答えるパンダ先生
パンダ先生

FXでは本物のドルを借りてこないんだ。やり取りするのは売値と買い値の差額だけで、そのための担保として証拠金を預けておく。株の空売りは本当に株を借りるから、ここが大きな違いだね(11章で比べるよ)。

ショート最大の利点は、下落局面でも利益を狙えることです。ロングしかできなければ、下がる相場では休むか、耐えるかの二択になります。売りから入れるなら、下降トレンドそのものが収益機会に変わります。この仕組みはFXだけでなくCFDにもありますが、FXは通貨ペアという性質上、常にどちらかを売ってどちらかを買っている点が特徴です。

ロング(買い)とショート(売り)の仕組み ロング(買い) 買ってから売る = 上昇で利益 高 低 買い 150円 売り 155円 +5円の利益! 価格上昇 → ロンガーの勝ち 安く買って、高く売る ショート(売り) 売ってから買い戻す = 下落で利益 高 低 売り 150円 買戻し 145円 +5円の利益! 価格下落 → ショーターの勝ち 高く売って、安く買い戻す

ロングは「安く買って高く売る」、ショートは「高く売って安く買い戻す」という正反対の方法です。順番が入れ替わるだけで、差額が利益になる点は同じです。

04ドル円を売ると、円とドルのどちらを売っている?

初心者が最も混乱するのがここです。FXでは常に2つの通貨をセットで扱うため、「売る」と言っても片方を売って、同時にもう片方を買っています。

読み方は単純で、左側が主役、つまり通貨ペアの左側が売買の対象です。ドル円(USD/JPY)の左はドルなので、ドル円のショートは「ドルを売って円を買う」取引になります。ドルの価値が下がって円の価値が上がる、つまり円高になると利益が出ます。逆にドル円のロングは「ドルを買って円を売る」取引で、円安になると利益が出ます。

ユーロドル(EUR/USD)なら左はユーロです。ユーロドルのショートは「ユーロを売ってドルを買う」取引で、円は一切関係ありません。日本人にとっての得か損かではなく、左の通貨が下がるかどうかで判断するのがコツです。

覚え方

「ドル円が下がる」=「ドルが安くなる」=「円が高くなる」。この3つはすべて同じことを言っています。ニュースで円高と聞いたらドル円のチャートは下向き、と結びつけておくと、売り買いの方向を間違えにくくなります。

つまり

売っても買っても、動かしているのは通貨ペアの左側の通貨。ドル円のショーターは「ドルが下がる(円高になる)」に賭けている人です。

05取引画面での呼び方(新規・決済・転売・買戻し)

実際の注文画面では、ロングやショートという言葉が使われないことがあります。国内のFX会社では「買」「売」というボタンで、そこに「新規」と「決済」の区別が加わる形が一般的です。

  • 新規買=ロングを建てる(ここからロンガーになる)
  • 新規売=ショートを建てる(ここからショーターになる)
  • 決済売=買いポジションを閉じる。会社によっては「転売」と表示される
  • 決済買=売りポジションを閉じる。会社によっては「買戻し」と表示される

ここで注意したいのが、決済のつもりで「新規」を押してしまう操作ミスです。買いポジションを閉じようとして新規売を選ぶと、ポジションが消えるどころか売りが追加され、意図しない両建てになってしまいます。取引ツールには決済専用の画面や、保有一覧から直接閉じるボタンが用意されているので、慣れるまではそちらを使うほうが安全です。

初めてショートを出すときの手順

  1. 通貨ペアと数量を決める:まずは最小単位で構いません。金額が小さいほど、操作の確認に集中できます。
  2. 「新規売」を選ぶ:買いと売りのボタンが左右に並んでいることが多いため、押す前に必ず表示を読みます。
  3. 決済の逆指値を同時に置く:ショートは価格が上がると損失なので、損切りは現在値より上に置きます。方向を取り違えやすいところです。
  4. 保有一覧で建玉の向きを確認する:「売」と表示されていれば成功です。数量と平均約定価格もあわせて見ておきます。
  5. 決済は保有一覧から行う:一覧の決済ボタンを使えば、新規注文と間違える余地がなくなります。

06ロンガーとショーターが市場で果たす役割

ショーターとロンガーは対立しているように見えて、実際にはおたがいの取引相手を提供し合っています。誰かが買いたいと思っても、同じ価格で売りたい人がいなければ取引は成立しません。両者がいることで注文が常に成立し、流動性が保たれています。

この土台の大きさは数字にも表れています。BIS(国際決済銀行)が3年ごとに実施する調査によると、世界の外国為替市場の取引高は2025年4月時点で1日あたり約9.6兆ドルに達し、2022年調査の約7.5兆ドルから3割近く増加しました。個人だけでなく、銀行・輸出入企業・年金基金・ヘッジファンドといった多様な市場参加者が、それぞれの目的で売りと買いを出し続けています。

参加者の目的が違う点は重要です。輸入企業はドルを買う必要があるから買い、輸出企業は受け取ったドルを売る必要があるから売ります。相場観とは無関係に売買する参加者が常に一定数いるため、市場は一方向だけに偏りきらずに済んでいます。

ショーター vs ロンガーの綱引きが価格を動かす 現在の価格 ショーター(売り派) 「これから下がる!」と予想 下降トレンドで有利 急落は上昇より速い 売りスワップの支払いに注意 売 ロンガー(買い派) 「これから上がる!」と予想 上昇トレンドで有利 スワップを受け取れる場合も 直感的で初心者にもわかりやすい 買 両者がいるからこそ取引が成立し、FX市場が動いている!

ショーターとロンガーは綱引きの関係です。どちらの勢力が強いかで価格が動き、両者がいることでスプレッドが狭まり、いつでも取引できる環境が保たれます。

07ロングとショートではコストの向きが変わる

意外に知られていませんが、同じ通貨ペアでも買いと売りでは保有コストが逆になります。スワップポイントは2国間の金利差から計算されるため、片方で受け取りなら、もう片方は支払いになるのが基本です。

なぜ売りだとマイナススワップになりやすいのか

ドル円で言えば、金利の高いドルを買って金利の低い円を売るロングは受け取り側になりやすく、逆にドルを売って円を買うショートは支払い側になりやすい構図です。つまりショートは、為替が思ったとおりに下がっても、保有日数ぶんのマイナススワップが利益から差し引かれます。数日で決済するなら影響は小さいものの、数週間持つと無視できない金額になります。

2026年9月の変化

日銀は2026年9月18日の会合で、政策金利を1.00%から1.25%へ引き上げました。6月に続く3カ月ぶりの利上げで、1995年以来およそ31年ぶりの水準です。ところが米国もその2日前、9月16日のFOMCで政策金利を3.75〜4.00%へ引き上げています。米国の利上げは2023年7月以来です。

日米がそろって0.25%ずつ上げたため、金利差は約2.5〜2.75%のままほとんど縮まっていません。2024年前半の5%台と比べれば半分ほどで、ドル円ショートのマイナススワップは当時よりずっと軽い状態ですが、「日銀が上げれば一方的に軽くなる」という局面ではなくなりました。水準はFX会社ごとに異なり日々変わるため、実際の金額は各社の公式サイトで最新のスワップ表を確認してください。

FXに逆日歩と返済期限はない

株式の信用取引で売り建てにかかる逆日歩(品貸料)や、6カ月といった返済期限は、FXには存在しません。毎営業日のロールオーバーで自動的に翌日へ繰り越されるため、証拠金が保たれているかぎり保有期間の上限はありません。売り建てを長く持てるのはFXの利点ですが、そのぶんスワップの積み上がりを自分で管理する必要があります。

08ロングとショートのリスクの違い

「ショートは損失が無限大」という説明をよく見かけます。理屈のうえでは正しく、価格に上限がない以上、売り建ての含み損は理論上どこまでも膨らみます。一方の買い建ては価格がゼロを下回らないため、損失の上限が理論上は存在します。

ただし実際のFXでは、この差はほとんど意味を持ちません。証拠金維持率が一定を下回ると強制決済されるロスカット制度があり、そもそも無限に持ち続けられないからです。さらにレバレッジをかけていれば、買い建てでも証拠金を超える損失が出る可能性はあります。方向ではなく、ロットと損切りの設計でリスクが決まると考えるほうが実態に合っています。

したがって、ロングでもショートでも損切り注文は必須です。あわせて、狙う利益と許容する損失の比率であるリスクリワードを注文前に決めておけば、どちらの方向でも同じ物差しで判断できます。

つまり

「ショートは損失無限大だから危ない」は理屈の話。実際のリスクは、売りか買いかではなくロットと損切りの置き方で決まります。

09下落は上昇より速い — 2026年7月の実例

ロングとショートには、もう1つ実務的な非対称性があります。相場は上がるときはじりじり、下がるときは一気という傾向です。買いは分散して積み上がるのに対し、下落局面では損切りと利益確定の売りが同時に出て加速するためです。

2026年7月末の局面がわかりやすい例でした。ドル円は7月下旬に一時164円に迫り、1986年以来およそ40年ぶりの円安水準に達していました。7月30日から31日にかけて政府・日銀の円買い介入が入ると、162円台後半から157円台まで約5円も急落。さらに米東部時間の7月31日には米財務省と協調した介入も行われ、8月3日に片山財務相が談話で公表しました。日米の協調介入は2011年以来15年ぶり、円買いに限れば1998年以来28年ぶりです。

この局面で痛手を負ったのは、円安が長く続いたことで「ドル円はロングしか勝たない」と思い込んでいた人たちでした。ショーターにとっては数日で大きな値幅が取れる場面だった一方、急落局面ではボラティリティも跳ね上がり、損切りが指定価格を大きく下回って約定するスリッページも起きやすくなります。速い動きは、乗れれば利益、逆行すれば想定外の損失という両刃です。

トレンドに合わせてロング・ショートを使い分ける 155円 152円 150円 148円 145円 上昇トレンド → ロングが有利 下降トレンド → ショートが有利 ロング 150円で買い 利確 154円で売り +4円 ショート 153円で売り 買戻し 146円 +7円 初心者がやりがちな失敗 「ロングしかやらない」→ 下落相場で損失が膨らむ 上昇 → ロング / 下降 → ショートで柔軟に対応!

実際の取引では、トレンドの方向を見極めてロングとショートを切り替えます。移動平均線などのテクニカル指標で方向を判断しましょう。

10ショーターが追い込まれるとき — ショートカバーと踏み上げ

売りポジションを閉じるには、同じ数量を買い戻す必要があります。この決済の買いをショートカバー(買い戻し)と呼びます。利益確定の買い戻しもショートカバーですが、相場で話題になるのは、上昇に耐えきれなくなったショーターの損切りが集中する場面です。

ショーターの損切りは、現在値より上に置く「逆指値の買い」です。直近の高値や切りのいい価格のすぐ上にはこの買い注文が積み上がりやすく、価格がそこへ届くと損切りの買いが次々に約定して上昇が加速します。加速した上昇がさらに上の損切りを巻き込み、雪だるま式に値が飛ぶ。これが踏み上げで、英語ではショートスクイーズと呼ばれます。

踏み上げ(ショートスクイーズ)が起きる流れ 直近の高値(節目) ショーターの損切り=逆指値の「買い」が溜まる ① じわじわ上昇 ② 高値を超えると損切りの買いが約定 ③ 買いが買いを呼び急騰 売りが一方向に偏るほど、上に溜まる「買い戻しの燃料」が増える

売りポジションの損切りは上に置く買い注文です。高値を超えた瞬間にそれがまとめて約定し、上昇が加速します。反対方向の急落が「ロングの投げ」です。

暗号資産の相場などでは、こうした損切りを狙って価格を押し上げる動きを「ショート狩り」「ショーター狩り」と呼ぶことがあります。反対に、買いポジションの損切りが連鎖して急落する動きはロングの投げ、あるいは「ロング狩り」です。介入のような大きな売りをきっかけにロングの損切りが連鎖すると、値幅は一気に広がります(ロスカット連鎖の仕組み)。意図的に損切りを誘う手口の見分け方は市場操作のページで整理しています。

質問するパンダ生徒
パンダ生徒

売っている人のほうが多いなら、みんなについていって売れば勝てるんじゃないの?

答えるパンダ先生
パンダ先生

そこが落とし穴なんだ。売りが多いということは、上に損切りの買いがたくさん溜まっているということ。少し上がっただけで踏み上げが起きやすいから、みんなと同じ位置で売ると、いちばん踏まれやすい場所に並ぶことになるんだよ。

  • 損切りは直近高値のすぐ上など、誰もが置く位置から少し離して設計する。離すぶんだけロットを落として、1回の損失額はそろえる
  • 売りが大きく偏っている通貨ペアでは、経済指標や要人発言の前に新規のショートを増やさない
  • 急騰を見て慌てて逆方向へ飛びつかない。踏み上げの頂点で買うことになりやすい
つまり

売りが一方向に偏った相場ほど、上に跳ねるリスクが大きい。ショーターの「逃げ道」は、みんなが置く場所の外に作ります。

11株・仮想通貨のショーター・ロンガーとFXの違い

ショーター・ロンガーという言葉は、株や暗号資産(仮想通貨)の世界でも同じ意味で使われます。売りから入る人がショーター、買いから入る人がロンガーです。ただし売りの仕組みとかかるコストは、市場ごとにまったく違います。

株の空売り(信用取引の売り)

株でショートするには、信用取引で証券会社から株を実際に借りて売ります。借りているので貸株料がかかり、売りが集中して貸し出す株が足りなくなると、逆日歩(品貸料)という追加のコストが発生することがあります。制度信用取引には最長6カ月の返済期限があり、委託保証金は取引額の30%以上が必要なので、レバレッジは最大でも約3.3倍です。

暗号資産(仮想通貨)のショート

国内の暗号資産交換業者では、暗号資産の証拠金取引でショートができます。個人のレバレッジ上限は2倍で、FXの25倍よりずっと低く抑えられています。建玉を持ち越すと日々の手数料がかかる形が一般的です。海外の取引所で主流の無期限先物では、資金調達率(ファンディングレート)という形でロングとショートのあいだに定期的な支払いが発生し、どちらが払うかは売りと買いの偏りによって入れ替わります。値動きが大きいぶん、前の章の踏み上げが起きやすい市場でもあります。

FXのショートは「借りない」

FXは差金決済の取引です。売ったときと買い戻したときの差額だけをやり取りするので、株のように現物を借りてくるわけではありません。貸株料も逆日歩も返済期限もない代わりに、2つの通貨の金利差がスワップとして毎日受け払いされます。期限を気にせず売り持ちを続けられ、保有コストはスワップだけを見ればよいのが、FXで売りから入るときの大きな利点です。

12ロング・ショートの名前の由来

なぜ買いをロング、売りをショートと呼ぶのか。由来には諸説あり、どれか1つが定説というわけではありません。

最も広く紹介されているのは、株式の信用取引に由来するという説です。買いから入る場合は長期保有(Long=長い)が多く、売りから入る場合は返済期限が短い(Short=短い)ことが多かったため、こう呼ばれるようになったとされます。もう1つは利益の伸びしろに注目した説で、買いポジションの利益は価格の上昇に上限がないため理論上「長い」のに対し、売りポジションの利益は価格がゼロを下回らない以上そこが頭打ちで「短い」という説明です。

英語では「go long on USD/JPY(ドル円をロングする)」「go short on EUR/USD(ユーロドルをショートする)」のように動詞的に使います。人を指すときは short seller(空売りする人)が一般的で、市場の売り方・買い方をまとめて the shorts/the longs と呼ぶこともよくあります。日本語のショーター・ロンガーより、英語圏ではこちらのほうが通じやすい表現なので、海外のニュースやレポートを読むときに知っておくと役立ちます。

13ポジション比率(LS比率)の見方

いまショーターとロンガーのどちらが多いのかは、いくつかの方法で概観できます。一部の国内FX会社は自社顧客の売買比率をLS比率として公開しており、米国では大口投資家の建玉状況をまとめたCOTレポートが毎週公表されています。

おもしろいのは、個人投資家のポジションが一方に極端に偏ると、逆方向に動きやすいという傾向があることです。ミセスワタナベと呼ばれる日本の個人投資家は逆張り志向が強く、上昇が続くと「そろそろ下がるはず」と売りを増やす傾向があるため、上昇局面ではショートが積み上がりやすくなります。そして上昇が続けばその損切りがさらに上昇を加速させる、というのが10章の踏み上げです。

注意

ただしLS比率は、その会社の顧客という限られた母集団の数字にすぎません。世界全体の需給を表すものではないため、単独の売買根拠にはできません。テクニカル分析やファンダメンタル分析で組み立てたシナリオを、補強するか疑うかの参考材料として使うのが適切な距離感です。

14両建てという選択肢とその代償

同じ通貨ペアでロングとショートを同時に持つことを両建てといいます。方向が読めない場面で損益を一時的に固定できるため、ヘッジの一種として使われます。

ただし代償があります。スプレッドを2回ぶん支払うこと、スワップは受け取りと支払いの差額ぶんが持ち出しになりやすいこと、そして解消するタイミングの判断が普通の取引より難しくなることです。どちらかを外した瞬間に方向を選ぶことになるため、結局は最初に決めるべきだった判断を先送りしているだけ、というケースが多くなります。

  • 必要証拠金の計算方式は会社ごとに違い、片側ぶんで済む場合と2倍必要な場合がある
  • 両建てを規約で禁止している会社や、複数口座をまたぐ両建てを禁じている会社がある
  • 含み損から逃げるための両建ては、損切りの先送りになりやすい

株の「ロングショート戦略」とは別物

株式の運用手法には、割安と考える銘柄を買い、割高と考える銘柄を売るロングショート戦略があります。同じ銘柄の売りと買いを同時に持つ両建てとは違い、狙っているのは2つの銘柄の差が縮まったり広がったりすることです。FXでこれに近いのは、値動きの似た2つの通貨ペアを片方は買い・片方は売りで組み合わせる方法ですが、いつもの連動が崩れると両方で損をすることもあります。組み合わせの考え方は相関のページが参考になります。

15初心者が陥りやすい失敗パターン

「ロングしかやらない」という偏り

最も多いのが、売りを一度も使わないまま買いだけで戦い続けるパターンです。売りから入る感覚は直感に反するため、怖いと感じるのは自然なことですが、下落局面でロングを続けて損失を重ねるより、ショートで素直に流れに乗るほうが合理的です。

ショートに慣れるには、デモ口座で売りから入る取引を繰り返すのが最短です。実際の資金を使わずに、注文から決済までの流れと画面の見え方を体に入れられます。

気質と相場の向きが合わないとき

もう1つは、トレード心理の問題です。ショーターは悪材料に敏感で慎重な傾向、ロンガーは楽観的で成長期待を重視する傾向があると言われますが、どちらの気質であっても、相場の方向と自分の好みが一致しないときが必ず来ます。そこで好みを優先すると、ポジションを持ちたいがために根拠を探すようになります。

防ぎ方は、方向の判断とロットの判断を分けることです。方向は相場環境から機械的に決め、金額は資金管理のルールから決める。この2つを混ぜないだけで、感情の入り込む余地はかなり減ります。

16ショートも使うなら見ておきたいFX会社の条件

ロングだけで取引していたときは気にならなかった項目が、ショートを使い始めると効いてきます。売りスワップの水準、両建ての可否、そして急落時の約定力の3つです。

  • 売りスワップの水準:同じ通貨ペアでも会社ごとに差があります。数日で決済するなら影響は小さいものの、数週間持つ前提なら必ず比較したい項目です
  • 両建ての可否と証拠金の計算方式:規約と取引説明書で確認します。片側ぶんで済むか2倍必要かで、必要な資金がまるで変わります
  • 急落時の約定力と取引ルール:短い時間で決済を繰り返すなら、スキャルピングが認められているかどうかも事前に確認しておきます

短期で売り買いを繰り返すスタイルなら、スキャルピングを公式に認めている会社が候補になります。国内ではJFXとヒロセ通商が公式にスキャルピングを認めていることで知られています。

逆に、ショートの練習から始めたい人には取引単位の小ささが効いてきます。松井証券FXのように1通貨単位で取引できる会社なら、数十円の資金でも売りから入る感覚を実地で確かめられます。各社のスプレッド・スワップ・取引ルールは国内FX会社ランキングで比較できます。

関連用語をチェック!

ポジション保有中の売買の持ち高。未決済の取引状態を指す
ブル相場価格が上昇傾向にある相場。ロンガーが有利な環境
ベア相場価格が下落傾向にある相場。ショーターが有利な環境
逆張りトレンドと反対方向にポジションを取る手法。個人に多い傾向
トレードスタイルスキャルピング・デイトレなど取引手法の分類。保有時間でコストの重みが変わる
サポート・レジスタンス反発しやすい節目。売り買いどちらでも出口の目安になり、損切りが溜まりやすい場所でもある
RSI買われすぎ・売られすぎを測る指標。逆張り判断の材料に使われる
ショーター・ロンガーのよくある質問に答えるパンダキャラクター
STEP 03

ショーター・ロンガーに関するQ&A

よくある質問と回答

(カードを押しても回答が開かない場合は、ページを再読み込みしてください)

変わりません。国内FXの利益は買いから入っても売りから入っても同じ区分で扱われ、申告分離課税の税率20.315%が一律で適用されます。ロングで出した利益とショートで出した損失を相殺する損益通算も、同じ区分の中で問題なくできます。年間で損失が残った場合は、確定申告をしておけば翌年以降3年間の繰越控除も使えます。注意点は国内FXと海外FXで税制上の区分が異なることです。海外FXは総合課税の雑所得となり、税率も損益通算できる相手も変わります。ロングかショートかではなく、どの口座で取引したかで扱いが分かれます。詳しくはFXの税金のページで解説しています。
1日1回、ニューヨーク市場が閉まる時点でポジションを持っていると発生します。日本時間では早朝にあたり、夏時間は朝6時前後、冬時間は朝7時前後が目安ですが、正確な時刻は会社ごとに異なります。この時刻をまたいで保有していると1日分が付き、またぐ前に決済すれば付きません。付与の仕組みはロールオーバーのページで解説しています。注意したいのは週に1回、土日の分をまとめて3日分が付く日があることです。売りスワップがマイナスの通貨ペアなら、その日は支払いも3日分になります。どの曜日が3日分になるかは通貨ペアや祝日で変わるため、スワップ3倍デーの仕組みもあわせて確認しておきましょう。
月曜の朝に価格が飛んで始まる「窓開け」に注意してください。土日は市場が閉じていますが、その間に要人の発言や地政学的な出来事が起きると、月曜の始値が金曜の終値と大きく離れて始まることがあります。ショートを持っている場合、上方向に窓が開くとその差額がそのまま含み損になります。厄介なのは損切り注文を置いていても窓を飛び越えて約定するため、想定した価格では止まらない点です。対策は、週末をまたぐときはロットを平常時より落とす、重要なイベントが週末にあるなら金曜のうちに決済する、証拠金に余裕を持たせる、の3つです。詳しくは窓(ギャップ)のページも参考にしてください。
値幅に数量を掛けて計算します。ドル円を1万通貨ショートして、150円で売って148円で買い戻せば、2円×1万通貨で2万円の利益です。反対に152円まで上がって買い戻せば2万円の損失になります。ドル円なら1銭(0.01円)動くと1万通貨で100円変わる、と覚えておくと暗算が速くなります。ここからスプレッドとスワップの受け払いが差し引かれるため、実際の手取りは少し小さくなります。ユーロドルのように円が入らない通貨ペアは損益がドルで出るため、その時点のドル円レートで円に換算して考えます。値幅の単位と通貨ペア別の計算方法はpipsのページで詳しく解説しています。
ドテンとは、保有ポジションを決済すると同時に反対方向のポジションを新規で建てることです。買いを決済して同じ数量の売りを入れれば、ロンガーからショーターに一瞬で立場が入れ替わります。多くの取引ツールにはドテン注文の機能があり、2つの操作を1回で済ませられます。便利ですが使いどころを間違えると危険です。多いのは損切りした直後に悔しさから逆方向へ入り、往復で損失を重ねるパターンで、判断が感情に寄っているサインでもあります。この負け方は往復ビンタと呼ばれます。使うならトレンドが明確に転換した根拠がある場合に限り、事前に条件を決めてから注文してください。
急落局面では、指定した価格どおりに約定しないことがあります。価格が飛ぶように動く場面ではその価格帯に十分な取引相手がいないため、実際の約定価格が注文価格からずれるスリッページが発生します。ショートの利益確定で言えば、想定より不利な価格で決済されて利益が目減りすることもあれば、飛び越えて有利に約定することもあり、方向は一定ではありません。対策は絶対にこの価格で決済したいなら指値、確実に決済したいなら成行や逆指値という使い分けです。指標発表直後や早朝など、もともと取引が薄い時間帯はずれが大きくなりやすい点も覚えておきましょう。
同じ瞬間であれば、買いでも売りでもスプレッドは同じです。スプレッドは買値と売値の差そのものなので、どちらから入っても支払う往復のコストは変わりません。違いが出るのは方向ではなく時間帯とイベントです。早朝や深夜、経済指標の発表前後、月曜の取引開始直後などは、買いでも売りでも同じように広がります。したがってコストを抑えたいなら、ショートかロングかを気にするより、スプレッドが広がりやすい時間を避けるほうが効果があります。なお原則固定と表示されていても例外はあり、相場が急変した局面では一時的に広がることが各社の説明書に明記されています。
理屈のうえでは有利に働きやすい材料です。日本の金利が上がると日米の金利差が縮まり、円を売ってドルを買う動きが弱まるため、ドル円は下がりやすくなります。ドル円のショートは価格が下がると利益になるので、方向としては追い風です。ただし利上げの有無だけで為替が決まるわけではありません。2026年9月がまさにその例で、日銀は18日に政策金利を1.25%へ引き上げましたが、その2日前に米国も3.75〜4.00%へ利上げしていたため金利差はほとんど縮まらず、植田総裁の会見のあとには円安が進んでドル円は158円台まで上がりました。相手国の金利の動きと、発表内容が事前の予想と比べてどうだったかまで見ないと判断を誤ります。中央銀行の動きは方向の目安として使い、単独の売買根拠にはしないでください。

さらに学ぶ

ロングとショートの使い分けがわかったら、次のステップへ進みましょう。

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