資金管理とは?FXで退場しない「リスク許容度」とロット調整の鉄則

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わからない前提で解説 5歳でもなんとなく分かるFX用語!

資金管理とは?
「お小遣いのルール」から学ぶFX退場ゼロの鉄則

このページでは、FXの資金管理と2%ルール、ポジションの管理、ロット調整、固定金額法と固定比率法の違い、リスク許容度、リスク管理ツールについて解説します。連敗したときに資金がどう減るかを動く図解で比べ、損切りの幅からロットを逆算する計算式、資金1万円〜100万円の目安、エクセルやスプレッドシートで使える式、2%ルールでも守れない急変時の注意点まで、FX初心者にもわかる言葉でまとめました。

資金管理をお小遣いのルールにたとえて説明する白黒FX用語辞典のパンダキャラクター
STEP 01
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なんとなく理解しよう!

5歳でもわかる超かんたん解説

ねえ、お小遣いのルールを決めたことはある? 毎月1,000円のお小遣いを、1回のガチャに全部つぎこんだらどうなるかな。外れたら、その月はもう何もできないよね。でも「ガチャは1回20円まで」と決めておけば、何回か外れても、まだ遊び続けられる。資金管理とは、1回の勝負に使っていいお金の上限を決めて、お財布が空っぽにならないようにするルールのことなんだ。

FXでいちばん有名なのが2%ルールだよ。2%ルールとは、1回の取引で負けてもいいお金を、持っているお金の2%までにする決まりのこと。1,000円なら20円、10万円なら2,000円だね。これなら10回続けて負けても、お金の8割以上が残るんだ(くわしい計算はSTEP2で見てみよう)。

ポジションとは、今、手に持っている通貨のこと。お店でリンゴを買って、手に持って歩いているところを思い浮かべてね。いくつ持っているか、いくらで買ったか、今いくらになっているかを見ておくのが、ポジションの管理だよ。リンゴとミカンを両方持っていても、同じ雨で両方ぬれるなら、危なさは2倍になるから気をつけよう。

ロット調整とは、負けたときの金額が2%に収まるように、持つ量を増やしたり減らしたりすること。お菓子の袋づめで考えてみて。袋の大きさ(負けていい金額)は決まっているから、大きいお菓子(損切りまでの幅が広い)は少ししか入らないし、小さいお菓子(幅がせまい)はたくさん入る。袋に合わせて数を変えるのがロット調整なんだ。

負けていい金額の決め方には2つのやり方があるよ。固定金額法は、毎回「100円まで」のように同じ金額に決めるやり方。わかりやすいけど、お財布が減っても同じ100円を使うから、減ったときほど危なくなる。固定比率法は、毎回「持っているお金の2%まで」のように割合で決めるやり方。お財布が増えたら使える金額も増えて、減ったら自然と少なくなる。減ったときに勝手にブレーキがかかるから、長く続けやすいんだよ。

リスク許容度とは、どれくらいまでなら負けても落ち着いていられるかの大きさのこと。ゲームで何回負けても平気な子もいれば、1回で泣いちゃう子もいるよね。自分が平気な大きさより多く賭けると、焦って「取り返さなきゃ」とルールを破りやすくなるんだ。

リスク管理ツールとは、うっかり使いすぎないように守ってくれる道具のこと。自転車のヘルメットやブレーキみたいなものだね。FXには、決めた値段になったら自動でやめてくれる注文(逆指値)や、持っていい量を計算してくれる計算ツールがあるよ。

質問するパンダの生徒
パンダくん

2%って少なすぎない? もっとたくさん賭けたほうが、早くお金が増えるんじゃないの?

回答するパンダの先生
パンダ先生

勝ち続ければ早く増えるね。でも、1回に20%賭けると、5回続けて負けただけでお金は3分の1になって、元に戻すには約3倍に増やさないといけないんだ。2%なら5回負けても9割が残るよ。FXは、1回で大きく勝つより、長く続けたほうがうまくなるんだ。

つまり、資金管理は「FXのお小遣い帳」!

資金管理:1回・1か月・口座全体で、負けていい上限を決めるルール。

2%ルール:1回の損失を資金の2%までにする決まり。10連敗しても8割以上が残る。

ポジション:今持っている通貨。同じ理由で一緒に負ける組み合わせに注意。

ロット調整:損切りまでの幅に合わせて、持つ量を増やしたり減らしたりすること。

固定金額法/固定比率法:負けていい金額を、毎回同じ金額で決めるか、資金の割合で決めるか。

リスク許容度:お金の面でも気持ちの面でも、落ち着いていられる損失の大きさ。

リスク管理ツール:逆指値や計算ツールなど、使いすぎを防ぐ道具。

2%ルールとロット調整の計算を解説する白黒FX用語辞典のパンダキャラクター
STEP 02

さらに深掘ってマスターしよう!

資金管理と2%ルールの本格解説

01資金管理とは?FXで退場しないための3つの上限

資金管理(マネーマネジメント)とは、1回の取引、1か月の成績、口座全体のそれぞれで損失の上限を決め、資金が尽きて取引を続けられなくなる状態(退場)を防ぐルールの総称です。どれほど優れた手法でも連敗は避けられません。資金管理は勝ち方の技術ではなく、負け方を小さくそろえる技術です。

レバレッジをかける取引では、負ける人のほうが多いのが現実です。欧州の金融規制当局ESMAは2018年、FXを含むCFD(差金決済取引)で個人の口座の74〜89%が損失を出しているという分析を示し、主要な通貨ペアのレバレッジを30倍までに制限しました。多くの人が負ける場所だからこそ、1回の負けで退場しない仕組みを、手法より先に用意する必要があります。

資金管理は3つの上限で守る 内側を守っても、外側で崩れることがある 口座全体 実効レバレッジを低く保ち、 証拠金維持率に余裕を残す 1か月(6%ルール) その月の損失と、持っている取引の リスクの合計が6%で新しく入らない 1回の取引(2%ルール) 損切りの損失を資金の2%まで 損切りの幅から持つ量を逆算 例:資金100万円なら1回2万円

1回の取引は2%、1か月の合計は6%、口座全体は実効レバレッジで守ります。内側だけ守っても、同時にいくつも持てば外側の上限を超えてしまいます。

「1回2%・1か月6%」という数字は、アレキサンダー・エルダー博士の著書『投資苑2』(日本語版は2003年)で、2%ルールと6%ルールとして紹介されて広まりました。本の中では、1回の大きな損をサメ、小さな損の積み重ねをピラニアにたとえ、2%ルールはサメ、6%ルールはピラニアから口座を守る仕組みとして説明されています。

022%ルールとは?連敗して比べるとわかる

2%ルールは、損切りしたときの損失を、その時点の資金の2%以内に収める決まりです。資金100万円なら1回2万円、負けて98万円になれば次は1万9,600円と、残高に合わせてリスクの金額も小さくなるのが特徴です。リスクの割合を変えると、連敗したときの減り方が大きく変わります。

切り替えて見る:1回のリスクの割合で、連敗したときの減り方が変わる

ボタンで1回のリスクの割合を切り替えます(資金100万円から0〜10連敗)。スマホでは図を横に動かすと、右側の比較も見られます。

25万 50万 75万 100万 0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 連敗の回数 1回のリスク2%で連敗すると 10連敗で残り 81.7万円 10連敗から元に戻すには +22.4% 1回のリスク5%で連敗すると 10連敗で残り 59.9万円 10連敗から元に戻すには +67.0% 1回のリスク10%で連敗すると 10連敗で残り 34.9万円 10連敗から元に戻すには +186.8% 1回のリスク20%で連敗すると 10連敗で残り 10.7万円 10連敗から元に戻すには +831.3% 割合 5連敗後 10連敗後 2% 90.4万 81.7万 5% 77.4万 59.9万 10% 59.0万 34.9万 20% 32.8万 10.7万 資金100万円・毎回その時点の残高の割合で計算

2%なら10連敗しても81.7万円が残り、22.4%の利益で元に戻せます。1回の損失が残高に合わせて小さくなるので、連敗するほど減り方がゆるやかになります。

1回のリスク5連敗後10連敗後10連敗から戻すのに必要な利益
1%95.1万円90.4万円+10.6%
2%90.4万円81.7万円+22.4%
5%77.4万円59.9万円+67.0%
10%59.0万円34.9万円+186.8%
20%32.8万円10.7万円+831.3%

資金100万円から始め、毎回その時点の残高にリスクの割合をかけて計算(固定比率法)。

10連敗は大げさに見えるかもしれません。しかし、勝率40%の手法で200回取引すると、いちばん長い連敗の中央値は9回で、10連敗以上になる確率も約4割あります(2万回の模擬計算による)。勝率50%でも、200回のうち8連敗以上は約3割の確率で起きます。連敗の長さの目安は最大連敗数の解説、勝率と損益の比率から資金が尽きる確率はバルサラの破産確率表で確かめられます。

つまり

2%なら10連敗しても81.7万円が残り、22.4%の利益で元に戻せる。20%だと10.7万円まで減り、元に戻すには9倍以上に増やす必要がある。

03ポジションとは?持ち高と合計のリスクを管理する

ポジションとは、今持っている通貨の持ち高のことです。買って持っていればロング(買いポジション)、売って持っていればショート(売りポジション)と呼び、持つことをエントリー、手放すことをイグジット(決済)と言います。FX会社の画面では、持っているポジションを建玉(たてぎょく)と表示することもあります。

ポジションの管理でいちばん見落としやすいのは、1枚ずつは2%でも、合計すると上限を超えていることです。たとえばドル円とユーロ円を同時に買うと、どちらも円安で得をして円高で損をする組み合わせなので、円高が来れば2つのポジションが一緒に損切りになり、損失は4%になります。値動きの似た通貨ペアの組み合わせは相関関係で確かめられます。

  • 合計のリスク:持っている全部のポジションの損切りまでの損失を足し、6%ルールの枠に収まっているか
  • 同じ向きの組み合わせ:円安で得をするポジションばかりになっていないか。似た組み合わせは1つのポジションとして数える
  • 含み損益と維持率:1日1回は、含み損益と証拠金維持率を確かめる

04ロット調整とは?損切りの幅から持つ量を逆算する

ロット調整とは、1回の損失がいつも同じ割合になるように、損切りまでの幅に合わせて持つ量(ロット)を決めることです。順番は、先に損切りの位置をチャートで決め、そこから持つ量を逆算するが正解です。「この量で取引したいから損切りを近くに置く」は順番が逆で、根拠のない近い損切りに何度もかかる原因になります。

ドル円のように円が後ろにつく通貨ペアは、1通貨あたり1pipが0.01円なので、1万通貨なら1pipで100円動きます。計算式は次のとおりです。

計算式

持つ量(通貨)=資金×リスクの割合÷(損切りまでの幅×1通貨あたりの1pipの値段)

例:資金100万円・2%・損切りまで50pips(ドル円)なら、100万円×0.02÷(50×0.01円)=4万通貨。1ロットを10万通貨とする会社なら0.4ロット、1万通貨とする会社なら4ロットです。

損切りまでの幅が変わると、同じ2万円の損失に収めるための量がどう変わるかを見てみましょう。

切り替えて見る:損切りの幅が変わっても、損失の面積は同じ2万円

ボタンで損切りまでの幅を切り替えます(資金100万円・2%ルール・ドル円157円)。点線は他の幅のときの形です。スマホでは図を横に動かすと、右側の証拠金と実効レバレッジも見られます。

損切りまでの幅(横) 持つ量(縦) 損切りまで20pipsのとき 損失 2万円 20pips 10万通貨 必要証拠金(25倍) 62.8万円 実効レバレッジ 15.7倍 証拠金維持率 159% 損切りが50pips不利に 約定したら損失は 7万円(7%) 損切りまで50pipsのとき 損失 2万円 50pips 4万通貨 必要証拠金(25倍) 25.1万円 実効レバレッジ 6.3倍 証拠金維持率 398% 損切りが50pips不利に 約定したら損失は 4万円(4%) 損切りまで100pipsのとき 損失2万円 100pips 2万通貨 必要証拠金(25倍) 12.6万円 実効レバレッジ 3.1倍 証拠金維持率 796% 損切りが50pips不利に 約定したら損失は 3万円(3%) 資金100万円・1回2%=2万円・ドル円157円で計算

損切りまで50pipsなら4万通貨です。実効レバレッジは6.3倍で、同じように50pipsすべっても損失は4万円(4%)に収まります。

損切りの幅がせまいほど多く持てますが、そのぶん実効レバレッジが上がり、予定より不利な値段で約定したときの損が大きくなります。スキャルピングのように損切りの幅がせまい取引ほど、2%ルールだけでなく持つ量そのものにも気を配りましょう。この点は09の節でくわしく見ます。

資金1万円〜100万円の目安(ドル円・2%ルール)

資金2%の金額損切りまで20pips損切りまで50pips
1万円200円1,000通貨400通貨
10万円2,000円1万通貨4,000通貨
30万円6,000円3万通貨1万2,000通貨
50万円1万円5万通貨2万通貨
100万円2万円10万通貨4万通貨

ドル円(1通貨あたり1pip=0.01円)で計算した、持てる量の上限。1,000通貨未満の量は、1通貨単位で取引できる会社でなければ持てません。

資金10万円なら、損切りまで20pipsで1万通貨が2%ルールの上限です。ただし、ドル円157円で1万通貨を持つと、必要証拠金は約6.3万円、実効レバレッジは15.7倍になります。2%ルールの上限いっぱいまで使うのではなく、慣れるまでは半分の量から始めると、急な値動きにも落ち着いて対応できます。自分の数字で計算するなら、ロット数の計算ツールが使えます。

エクセル・スプレッドシートで計算する式

A2に資金(円)、B2にリスクの割合(2%なら0.02)、C2に損切りまでの幅(pips)を入れると、持つ量を1,000通貨単位で切り捨てて出せます。

  • ドル円・ユーロ円など:=ROUNDDOWN(A2*B2/(C2*0.01),-3)
  • ユーロドルなど:D2にドル円のレートを入れて =ROUNDDOWN(A2*B2/(C2*0.0001*D2),-3)(資金100万円・2%・50pips・157円なら2万5,000通貨)

最後の「-3」は1,000通貨未満を切り捨てる指定です。1通貨単位で取引できる口座なら0にします。端数は必ず切り捨てにして、2%を少しでも超えないようにします。

注意

計算した量が、口座の最小取引単位より小さいこともあります。そのときに損切りを近づけて量を合わせるのは逆効果です。取引単位の小さい会社を使うか、その取引を見送ります。国内ではSBI FXトレードや松井証券のように、1通貨から取引できる会社もあります。

05固定金額法とは?毎回同じ金額をリスクにする

固定金額法とは、1回の取引でリスクにさらす金額を、資金の増減にかかわらず毎回同じ金額にする資金管理の方法です。たとえば「毎回2万円まで」と決めたら、資金が100万円でも50万円でも150万円でも、損切りしたときの損失は2万円です。

  • 計算がかんたんで、損切りしたときの金額が毎回同じなので気持ちが安定しやすい
  • 資金が増えてもリスクが増えないので、勝ったあとの気のゆるみによる大きな損を防ぎやすい
  • 資金が減るほど、1回のリスクの割合が上がる。100万円で2万円なら2%だが、50万円まで減ると4%になる
  • 資金が増えてもリスクの金額が変わらないので、増えた資金を活かしにくい

固定金額法を使うなら、月の初めなど決まった日に、その時点の資金の2%で金額を決め直すのがおすすめです。こうすると、1か月の中では金額が一定で計算がかんたんなまま、資金が大きく減ったときにリスクの割合が上がりすぎるのを防げます。

06固定比率法とは?資金の一定割合をリスクにする

固定比率法とは、1回の取引でリスクにさらす金額を、その時点の資金の一定の割合にする方法です。2%ルールはこの考え方で、資金が100万円なら2万円、150万円に増えれば3万円、50万円に減れば1万円になります。増えたときは少しずつ攻め、減ったときは自動的に守りに入るのが最大の特徴です。

資金が増減したときの1回のリスク額 固定金額法(毎回2万円) 固定比率法(毎回2%) 1万円 2万円 3万円 2万円 4% 1万円 2% 資金50万円 2万円 2% 2万円 2% 資金100万円 2万円 1.3% 3万円 2% 資金150万円 固定金額法は、資金が減るほどリスクの割合が上がる

資金100万円のときは、どちらも1回2万円で同じです。差が出るのは資金が増減したときで、固定金額法は資金50万円で4%まで上がります。

弱点は、毎回ロットを計算し直す手間と、連敗で資金が減ったときに取り戻すペースも遅くなることです。ただ、これは退場を防ぐための仕組みそのものでもあります。証券会社の解説では、負けるほど賭け金を増やすマーチンゲール法の逆という意味で、逆マーチンゲールとも呼ばれます(マーチンゲール法の危険)。

英語の資料を読むときの注意

日本語の固定比率法は、英語ではFixed Fractional(定率法)にあたることが多い方法です。英語のFixed Ratio(固定比率)は、ライアン・ジョーンズが1999年の著書『The Trading Game』で示した別の方法で、利益が決まった額(デルタ)だけたまるたびに、取引の枚数を1つずつ増やす仕組みです。名前が似ていて取り違えやすいので、英語の本や海外のツールでは中身を確かめましょう。

つまり

初心者は固定比率法(2%ルール)が基本。固定金額法を使うなら、月に1回は資金の2%で金額を決め直す。

07リスク許容度とは?自分の上限を決める3つの質問

リスク許容度とは、どの程度の損失まで、お金の面でも気持ちの面でも耐えられるかの大きさです。2%は多くの人にとっての目安で、自分のリスク許容度がそれより小さいなら、1%やそれ以下にするのが正解です。次の3つの質問に順番に答えて、自分の上限を決めましょう。

  1. なくなっても生活に困らないお金はいくら?:生活費や近いうちに使うお金を除いた額だけを、FXの資金にする
  2. 1回の負けで、いくらまでなら次も落ち着いて取引できる?:その金額が資金の2%より小さければ、小さいほうを1回のリスクにする
  3. 10連敗しても続けられる?:1回のリスクを10倍した金額を失っても、ルールを守り続けられるかを考える

気持ちの面の強さは、実際に負けてみるまでわかりにくいものです。デモ口座では平気だったのに、本物のお金だと小さな含み損で慌ててしまうのはよくあることです。本番は最小の量から始め、慣れに合わせて少しずつ増やしましょう。12問に答えて自分のタイプがわかるFXリスク許容度診断も参考になります。

08リスク管理ツールとは?自分を守る5つの道具

リスク管理ツールとは、リスクを数字で確かめたり、決めたルールを自動で守らせたりするための道具や注文の仕組みの総称です。人は損が出ている最中ほど判断を誤るので、ルールを守るのは気合いではなく、道具に任せるのが確実です。

  • 逆指値の注文:決めた値段で自動的に損切りする。エントリーと同時に必ず入れる(逆指値の解説)
  • IFO注文:エントリーの注文と、損切り・利確の注文を一度に出せる(IFO注文の解説)
  • ロットの計算ツール:資金・リスクの割合・損切りの幅から、持つ量をその場で出す(ロット数の計算ツール)
  • レバレッジコースとロスカット水準の設定:楽天証券は25倍〜1倍の5コース、松井証券は25倍・10倍・5倍・1倍の4コースから選べる。ロスカットの水準を選べる会社もある
  • トレード日誌とスプレッドシート:1回ごとのリスクの割合と結果を記録し、ルールが守れているかを週に1回見返す

口座全体の破産の確率を知りたいときは、勝率と損益の比率、1回のリスクの割合から計算するバルサラの破産確率が役立ちます。同じ勝率でも、1回のリスクを下げるだけで破産の確率は大きく下がります。

092%ルールでも守れない場面|すべりと実効レバレッジ

2%ルールには、損切りの注文が予定した値段で約定する、という前提があります。ところが相場が急に動くと、注文が不利な値段で約定するスリッページが起きます。週明けに金曜の終値から値段が飛んで始まる窓開けや、数分で値段が崩れるフラッシュクラッシュでは、損切りの注文があっても、損失が2%を大きく超えることがあります。

ドル円は、2024年7月上旬の161円台から8月5日の141円台まで、約1か月で約20円下がりました。2026年7月30日には、日本単独の円買い介入で162円台後半から157円台後半まで、数時間で約5円(約500pips)動いています。損切りまでの幅を20pipsに置いていても、値動きが速い日は予定どおりに約定しないことがあると考えておくべきです。

見積もりの式

予定より多く失う割合=実効レバレッジ×すべった幅÷レート

例:実効レバレッジ15.7倍で、ドル円157円のときに50pips(0.5円)すべると、15.7×0.5÷157=約5%。予定の2%と合わせて約7%の損失になります。実効レバレッジが3.1倍なら、同じすべりでも約1%で済みます。

対策は、2%ルールに加えて実効レバレッジにも上限を持つことです。損切りの幅がせまい取引ほど量が増えるので、そのぶん実効レバレッジを確かめます。重要な指標の発表前や、週末をまたいで持つときは、量を半分にする、または持ち越さないと決めておくと、すべったときの損を小さくできます。

質問するパンダの生徒
パンダくん

損切りの幅をせまくすれば、たくさん持てて得じゃないの?

回答するパンダの先生
パンダ先生

計算の上ではそうだね。でも、量が多いほど、値段が飛んだときの損も大きくなるし、せまい損切りは小さなゆれにもかかりやすいんだ。損切りの位置はチャートの根拠で決めて、量はそのあとで合わせる。この順番を守れば、2%ルールはちゃんと働くよ。

つまり

2%ルールは損切りが約定してはじめて守れる。急な値動きに備えて、実効レバレッジにも上限を持ち、指標の前と週末は量を減らす。

関連用語をチェック!

ポジションサイジングとは?資金から1回の取引量を決める技術。計算式を3ステップで
損切りラインの決め方ロットを逆算する出発点になる、損切りの位置の決め方
リスクリワードとは?損切りと利益の比率。2%ルールと組み合わせて期待値を作る
リスク指標とは?ドローダウン・勝率・期待値で、自分の取引を数字にする
証拠金維持率とは?口座全体の余裕を見る数字。ロスカットとの距離がわかる
種銭とは?FXを始める元手はいくら必要か。2%ルールでの守り方
プロフィットファクターとは?総利益÷総損失。資金管理の成果を測る指標
資金管理のよくある質問に答える白黒FX用語辞典のパンダキャラクター
STEP 03

疑問を解消しよう!

よくある質問と回答

※質問を押しても回答が開かない場合は、ページを再読み込みしてください。

量から逆算するのではなく、チャートの根拠で決めます。買いなら、直近の安値やサポートラインのすぐ下のように、そこを割ったら自分の見立てが外れたと言える場所に置くのが基本です。もうひとつの目安が、値動きの平均的な大きさを示すATRで、ふだんのゆれに引っかからないよう、ATRの1〜2倍ほど離すのがよく使われる目安です。ゆれの範囲の内側に置くと、方向は合っていても何度も損切りにかかります。ATRの見方はボラティリティの解説で確かめられます。
連敗中は下げ、連勝中は上げないのが基本です。たとえば、資金がいちばん多かったときから10%減ったら1回のリスクを2%から1%に下げ、減った分を取り戻したら2%に戻す、と先に決めておきます。戻す条件まで決めておくと、感情で割合を動かさずにすみます。反対に、負けたあとに量を増やして一気に取り返そうとするのは、倍賭けのマーチンゲール法と同じ考え方で、連敗が続くと資金が一気に尽きます。仕組みと危険性はマーチンゲール法の解説を見てください。
入れて計算します。買いのポジションは売値で決済されるので、実際の損失は損切りまでの幅に、エントリーしたときのスプレッドを足した分になります。ふだんは小さくても、指標の発表前後や早朝は広がるので、その時間に取引するなら広がった幅で計算します。スプレッドの目安はスプレッドの解説で確かめられます。何日も持つ取引では、マイナスのスワップポイントが毎日積み重なるので、持つ予定の日数分を損失の見込みに足しておきましょう。付与の仕組みはスワップポイントの解説にまとめています。
週末は市場が閉まるため、土日に大きなニュースが出ると、月曜の朝に金曜の終値から離れた値段で取引が始まることがあります。このとき損切りの注文は、損切りの値段ではなく、月曜に最初についた値段で約定することがあります。持ち越すなら、量をふだんの半分ほどに減らすか、損切りまでの幅を窓の分だけ広く見積もって量を決めます。週末に選挙や国際会議などの予定があるときは、持ち越さないのがいちばん確実です。窓が開いたあとの値動きは窓埋めの解説で確かめられます。
EAの量の設定には、毎回同じ量で取引する固定ロットと、残高に合わせて量を変える設定があります。残高に合わせる設定なら、1回のリスクが資金の2%以内になるかを、損切りの幅と合わせて確かめます。注意したいのは、過去のデータで検証した最大の落ち込み(ドローダウン)が、将来の上限ではないことです。検証より大きな落ち込みが来る前提で、資金に余裕を持たせましょう。複数のEAを同じ口座で動かすなら、全部のリスクの合計で考えるか、口座を分けて管理します。検証の手順はバックテストの解説にまとめています。
使えます。ただし、1pipの値段や取引の単位が通貨ペアと違うので、pipsではなく値段の差×数量で損失を計算するのが確実です。ゴールドは海外FXで1ロット=100オンスとする会社が多いものの、pipsの数え方は会社によって違います。国内のCFDは、株価指数が10倍、商品が20倍までと、レバレッジの上限もFXの25倍より低く決められています。値動きが通貨ペアより大きい日も多いので、損切りまでの幅を広めに取り、そのぶん量を減らすのが基本です。ゴールドの取引の特徴は金の取引の解説で確かめられます。
アレキサンダー・エルダー博士の『投資苑』と『投資苑2』(パンローリング)は、心理・手法・資金管理を1つの流れで学べる定番です。とくに『投資苑2』では、2%ルールと6%ルールが、口座を守る具体的な手順として説明されています。英語が読めるなら、ライアン・ジョーンズの『The Trading Game』(1999年)で、利益に合わせて枚数を増やすFixed Ratioの考え方を学べます。どの本の数字も、そのまま使うのではなく、自分のリスク許容度と取引の回数に合わせて調整することが大切です。
1回ごとに、日付、通貨ペア、売りか買いか、量、損切りまでの幅、リスクの金額と資金に対する割合、結果の損益、ルールを守れたかどうか、の8つを残します。週に1回は、平均のリスクの割合、いちばん長い連敗、ルールを破った回数を集計しましょう。勝った週でもルール違反が多いなら、それは運で勝っただけと考えて見直します。スマホのアプリでも、表計算の1シートでもかまいません。続けられる形を選ぶのがいちばんです。書き方の型はトレード日誌の書き方が参考になります。

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